もめのめも書き

日常のエッセイ、仕事の記録など。

〔エッセイ〕どっちのお豆かわかりません。

スナップエンドウのすじを取り除く作業を頼まれた。

茹でてマヨネーズつけてたべたら美味しい、あれ。わたしのお豆史の中でも、小学校だか中学だか、わりと遅咲きのあれ。「え?スマップエンドウ?」って、アイドルグループと間違えて覚えそうで(実際におばあちゃんは間違えていたりして)、間違えないように心の中で光速で何度も繰り返してから口に出していた、あれ。皮が肉厚でぷりっとしているから、おマヨをつければ、子どもの舌でも食べやすい存在。

 

 

 

お安い御用と、ヘタの先っぽからすじを取り除きにかかる。え?ん、皮、全開?実を包む皮が美味しいのに、身ぐるみ全部剥がれてしまう。数個に一回は華麗に成功するのに、なぜ。必ずコツがあるはずだ。困った時のグーグル先生。…と思ったら、近くに通りかかったリアル先生!助けてプリーズ。私に豆のすじ取りを依頼した張本人は、野菜に詳しい料理人。

 


汗だらだらなわたしに「あ、もしかしてえんどう豆混じってたんかも。パッと見、わからんかったね」と、照れ笑い。変な安堵と共に、偉ぶらず、「わからんね」と、素人と同じ立ち位置で照れ笑いする料理人の彼女をひそかに好きになった。

 


身ぐるみ剥がれる豆は、えんどう豆(うすいえんどう)で、皮は食べられないから、皮と実をわける。身ぐるみ剥がれぬ豆は、スナップエンドウ。皮ごといただく。あなたは、えんどうね、あなたはスナップね、こっちの豆かな、あっちの豆かな?まめかな?まめかな?マナカナかな?二種類あると認識してからのわずか数個で、あっという間に、マナカナの違いを認識した。なぜ最初、二種類あることさえも気づかずに焦っていたのかというほどに。

 


指先が覚えた豆の汁は、一体どちら由来かは判別できずにべっとりしていた。こぼれた実はおにぎりに、アイドルグループの方は、茹で上げられて、わたしの腹へと落ちてった。

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