もめのめも書き

日常のエッセイ、仕事の記録など。

NYへ。

年末年始の休みが長くあったので、旅へ行くことにした。ひとつの思考に没頭し易い私は、行動が留まってしまう傾向にある。それゆえ、わたしとって旅(特に海外)はどちらかと言えば、快楽より修行の色が濃い。

 


決めた行き先はNY。国内にしても「美術館へ行きたい」が1人でも能動的になる動機。現代美術の宝庫のNYは、いつか行ってみたいとうっすら思っていた。

 


1人旅の予定だったが、休みが重なった友人が、わたしも行こうかなと言い出した。料理家の彼女は、これから再始動する自分の店のインスピレーションを求めて旅先を探していたところであった。旅は道連れ。1人ではあり得なかった出会いもあった。

 


ブルックリンのアパートに滞在し、それぞれの行きたい場所に各自行ったり、共に行ったり。

 


旅立つ直前、知人に勧められたオフブロードウェイ、「Sleep  No More」は行ってよかった。(興味ある人は詳細をぜひググッてください)鑑賞のコツが分かってからは、走って、目撃し、エキサイティング。単純に、俳優が目の前で全裸になるという理由だけでも、同じものが日本で公演されることはなさそうだから足を運んだ価値あり。

 


時差ボケもあり、眠りにつけなかった夜に、読みかけの原田マハの「楽園のカンヴァス」を読み切って、MoMAに向かった。題材になっているルソーの「夢」を目の前にした時は、ひとつの絵画で史実に基づきつつフィクションを加えて創作する原田マハすごい!ってなった。MoMAは、他にも名作がゴロゴロしていてお腹いっぱい。

 


もっとも楽しかったのが、現代美術家の野村康生さんのアトリエに訪問したこと。(http://yasuonomura.com/index.html)旅した友人の友人で、滞在中に思いたって連絡して会いに行くことになった。これぞ旅は道連れ。友人さすがNYに出てきて現代美術の世界で勝負してるだけあって、この世界に対して幅広く勉強されてるし自分の考えを持っている。私たちの滞在してるアパートで夜な夜な話した。数年、自分のことで必死だったから、世の中に対しての意識を絶っていたけど、改めて接続し直そうと思った。そうつぶやくと美術家の彼も、料理家の友人も、「いやいや結局自分を幸せにしないと」と笑って否定した。そうだ、私も確かにずっとそんなことを言っていた。世界の幸せを祈るなら、まず足元から。そんなこと言うのも憚られてたが、改めて。外へと接続しながら走り出す準備はもう整った気がする、なあ。